目指せ、理科指導力アップ!頑張れ小学校教員の卵たち
研究グループ/記者会見出席者
下井倉 ともみ(東京学芸大学・特任講師), 土橋 一仁(東京学芸大学・准教授)
○記者会見日時・場所
日 時 : 2011 年 3 月 15 日(火) 午後2時30分〜
場 所 : 筑波大学 1C棟3階会議室
○連絡先 下井倉ともみ(電話:042-329-7535)
○報道についてのお願い
本発表内容についての報道していただく場合、 報道時期が記者会見(3月15日(火))の後になるようお願いいたします。
概 要
科学に対する児童の興味を育てるためには、小学校で適切な理科の授業を行うことが重要です。しかし、将来小学校の教員を目指す教育学部の学生にとって、理科の観察・実験の機会は理系学部の学生と比較すると圧倒的に少ないのが現状です。また、同学部の学生は高校
在学時にも文系に属していた学生が多く、大学で自然科学をさらに深く学ぶために必要な理科や数学の基礎知識は不足しがちだと思われます。
本研究では、小学校教員志望の国語や社会選修といった理科選修以外の学生(以後、非理科生)を対象に天文分野を含む原理の分かり易いテーマを選び、具体的な観察や実験を取り入れた授業を実践しました。初回の授業時に行ったアンケート調査により「非理科生のうち、約6割の学生は理科が好きである。しかし、教える自信のある者は約1割にとどまる。自信をもてない理由として、約6割の学生が内容の理解不足・知識不足を挙げている」ことが分かりました。この結果は、科学技術振興機構(JST)による、現役教員への調査結果※1及び全国の小学校教員志望の非理科生への調査結果※2と同様の傾向を示しています。つまり、学生の頃に抱えていた不安を教員になった後もずっともち続けているのです。
本研究の授業実践の結果、取り扱ったテーマについては学生の基礎的な科学知識や観察・実験の技能をかなり向上させることが出来ました。また、8割以上の学生が、自分の知識を児童に説明することが出来るようになりました。テーマ毎に時間をかけた教育を施せば、非理科生でも理科の指導力をかなり高められることが分かりました。しかし、「小学校で理科を教える自信」をもたせることは出来ませんでした。小学校教員志望の非理科生に自信をもたせるためには、小学校理科の内容を網羅するような授業を包括的かつ継続的に行うカリキュラムが必要なのです。
- ※1科学技術振興機構(JST):平成20年度「小学校理科教育実態調査」【集計結果(速報)】
- ※2科学技術振興機構(JST):平成22年度「理科を教える小学校教員の養成に関する調査」【集計結果(速報)】