日本天文学会春季年会2011 記者会見資料

目指せ、理科指導力アップ!頑張れ小学校教員の卵たち

授業実践の効果

1. 知識の上達

理解度の上達を見るために各テーマでの初回の授業時と最終の授業時にそれぞれ筆記試験を行いました。事前の筆記試験では、学生を無作為に2グループに分けて、それぞれに別の試験問題A、B(両試験問題ともに設問は4問)を受けさせました。例としてテーマ「月の観察」時の設問を表3に示します。どちらも中学校レベルの問題ですが、難易度はAに比べてBを高く設定しました。事前試験では、全テーマともAは8割を超える正答率でしたが、Bは低い結果となりました。事後の筆記試験では、試験問題AとBを合わせた設問(全8問)を全受講生に受けさせました。事後試験では、いずれも正答率は8割を超えました(図2)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 説明力の向上


 初回の授業時に、簡単な自然現象について「自分の知識をどのように児童に伝えるか」という調査を行いました。図3aに示すように、学生の「約4割はある程度児童に説明することが出来るが、約6割は十分な説明が出来ない」という結果となりました。実習後にも同様の調査を行ったところ、4つのテーマ全てについて、8割以上の学生が児童に説明が出来るようになりました。図3bは、テーマ「月の観察」の実習後の調査結果です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 理科に対する意識調査と教える自信

 初回の授業時に、学生の理科に対する意識調査を行いました。その結果を図4aに示します。「約6割の学生は理科が好きである。しかし、教える自信のある者は約1割にとどまる。自信をもてない理由として、約6割の学生が内容の理解不足・知識不足を挙げている」という結果が得られました。つまり、理科そのものは好きだが、指導することに不安を抱えていることが分かりました。
 科学技術振興機構(JST)による現役教員への調査からは、「学級担任として理科を教える教員の約9割が理科全般の内容は好きと回答している一方、その約半数は理科の内容の指導に苦手意識を感じている」※1という結果が報告されています。また、同機構によると、小学校教員志望の学生への調査で「理科を専門としない学生は他の教科と比べても理科指導への苦手意識が高い」※2という結果も報告されています。今回の対象者は、これら2つの結果と同様の傾向を示しています。つまり、学生の頃に抱えていた不安を教員になった後もずっともち続けているのです。
 また、最終回の授業時に行った意識調査では、再び「あなたは小学校で理科を教える自信がありますか」という設問項目を設けました。「大変自信がある」または「まあ自信がある」という回答の割合は初回の授業時に比べて増えず、本授業で学生の「理科を教える自信」を改善することは出来ませんでした。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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