目指せ、理科指導力アップ!頑張れ小学校教員の卵たち
研究の背景と目的
「理科離れ」は,今や聞き慣れた言葉になっています。この原因を特定するのは難しいですが、児童にとって教員は最も身近な指導者であり、教える側の教員の指導力が児童の理科に対する興味・理解の度合いに大きく影響するのは言うまでもありません。
日本の将来の理科教育を担う教育学部の学生達には、広く自然科学を学習し、自然科学の様々な原理や、その具体的な観察・実験方法を身につけてから学校教育の現場へ巣立って行って欲しいと考えます。しかし、日本の大学では、教育学部の特に小学校教員養成課程は文系に位置づけられています。そのような学生の理科の観察・実験の機会は、理系学部の学生と比較すると圧倒的に少なく、科学を学ぶ意義を考える機会もほとんどありません。また、小学校教員養成課程の学生は高等学校在学時にも文系に属していた学生が多く、大学で自然科学をさらに深く学ぶために必要な理科・数学の基礎知識は不足しがちです。小学校理科における指導内容での「物質・エネルギー」の区分は物理や化学の分野を含みますが、小学校教員養成課程の学生は高校在学時に物理や化学を履修していない者も多いのが現状です。彼らにとって、物理・化学の基礎を学び、さらにその観察・実験法を習得することは、容易ではないと考えられます。
本研究では、小学校教員志望の理科選修以外の学生(非理科生)を対象に、天文分野を含む原理の分かり易いテーマを選び、具体的な観察や実験を取り入れた授業を実践しました。その目的は、受講生に小学校で理科の授業を展開出来るようになるための基本的な技能と知識、及び科学的説明力を獲得させることです。学習するテーマ毎に、@基礎的な科学知識の講義、A観察・実験を取り入れた実習、Bレポート及び試験、という流れで行った本授業実践が、学生の基礎知識の定着と科学的説明力の向上にどのように有効に働くのかを調査しました。