HI 21cm線望遠鏡の制作と観測演習を行いました (2025.6.13)

日付:2025年6月 場所:東京学芸大学 参加者:天文学研究室一同

投稿者:藤原虎太郎 山下和音

 6月13日の4時限・5時限の時間に、浅山信一郎 先生(SKA天文台)、濤﨑智佳 先生(上越教育大学)のお二方を招いて講演会と電波望遠鏡制作実習を行いました。低価格アマチュア無線機を活用した電波望遠鏡の作成および21cm線の観測という内容で、簡単に電波望遠鏡を自作できてしまうことに驚きながら、楽しく活動しました。

 天文に馴染みがない人はもちろん、天文学の初学者においても、電波天文学と聞くと、どこか難しそうな気がしている人も多いと思います。本時間の実習では、HI21cm輝線の波長が長い性質から、手作りの受信機でも十分に観測ができることを体験しました。

 浅山先生のお話では、波長の1/10程度の精度で観測機器を作れれば観測可能とのことで、HI 21cm線においては手作りでも観測に足る精度になる、ということです。

 バルーンアートに用いられる風船や、アルミホイル等を用いてホーンアンテナ(電波を収集する部分)を作成し、空き缶に金属棒を立てたものを用いて電波を集約、受信機につなぎました。

 観測はパソコン等を用いて(用意されているソフトウェアを用いて)行いますが、レベル別にお話の内容を調節できるということで、各校種における教材への応用についても、今後が楽しみです。

 以下、観測の様子です。当日は曇っていましたが、HI 21cm線の観測においては、曇りや小雨程度であれば観測可能な日も多いとのことで、普段の観測との違いに驚きました。こと梅雨の時期においては、曇りや雨の日も多く、通常の光学観測(V,B,R,Iバンドなどでの観測)が難しいこともあり、手軽で画期的だと感じました。

 作成したアンテナを天の川の方向に向けています。

 本実習は、教育学的な視座から天文学を考える良いきっかけになりました。大変有意義な時間をありがとうございました。