月のクレーターの深さを推定する教材

天文学研究室 修士2年 畑中美里

月のクレーターの深さを推定する教材を作成しました。

学校での授業・学習資料作成等の教育目的の使用に限り、ご自由にご利用いただけます。詳細は教材の利用についてのページをご覧ください。

この教材では、月の写真のクレーターの影の長さから、クレーターの深さを推定することができます。

実習のための教材例は、以下からダウンロードすることができます。

教材例は、「教材①:月の写真(A0ポスター用)」「教材②:座標のオーバーレイ」「教材③:実習用のワークシート」の3点から成ります。

<月のクレーターの深さを求めるための手順>

高校生用に開発した教材①②③を用いて、クレーターの深さを求めるための手順を説明します。

教材①や②を自作する方法についても説明します。

1. 「教材①:月の写真(A0ポスター用)」を用意する

高校生用に開発した教材①をダウンロードします。大きな用紙に印刷します(A0ポスターなど)。

※教材を自作する場合

 撮影日時と天球上の北が分かっている月の写真を用意して、大きな用紙に印刷します。

2. 深さを求めたいクレーターを決める

教材①を観察して影が写っているクレーターを探し、深さを求めるクレーターを決めます。

3. クレーターの影の長さの測定

教材①に定規を当てて、クレーターの影の長さ(mm)を測定し、

教材①の左下に印刷されたスケールを用いて実際の影の長さ(km)に変換します。

※教材を自作する場合

 大きな用紙に印刷した月の写真に定規を当てて、クレーターの影の長さ(mm)と月の直径(mm)を測定します。

 次に、月の直径が6952kmであることを利用して、クレーターの実際の影の長さ(km)を求めます。

4. 「教材②:座標のオーバーレイ」を用意する

高校生用に開発した教材②をダウンロードします(下記のdが135.5°の場合)。

※教材を自作する場合

 太陽ー月ー地球(観測者)の成す角度をaとします。 

 角度dを、d = 90° – a となる角度とします。

 座標のオーバーレイはこのdをもとに作成しますが、以下の「dの値の計算システム」のウェブサイトを利用すれば、月の写真の撮影時刻からdを計算して自動的にオーバーレイを作成し、ダウンロードすることができます。

 アドビ・イラストレーターやInkscapeなどのソフトウェアを使ってダウンロードした座標のオーバーレイを「教材①:月の写真」に重ね、「教材②:座標のオーバーレイ付きの月の写真」を作成します。

 このシステムからダウンロードできるオーバーレイは、上方が北になっています。

5. クレーターの座標(Φ, θ)を読み取る

「教材②:座標のオーバーレイ」を使って、深さを求めたいクレーターの座標(Φ, θ)を読み取ります。

 (Φ, θ)は半径を1とした月の中心を原点とする極座標の(緯度,経度)で、太陽はφ = 90°の方向にあり、地球(観測者)は、(Φ, θ) = (d,0°)の方向にいるものとします。

6. クレーターの深さを求める

以下の計算式(写真上のクレーターの影の長さからクレーターの深さを推定するための計算式)に d, Φ, θの値を代入して、クレーターの深さを求めます。

\begin{align} H = \frac{L}{\sqrt{(\cos \phi\ \sin \theta)^2 + \left(\frac{\cos \phi}{\tan \phi} \cos d + \cos \phi\ \cos \theta\ \sin d\right)^2}} \end{align} \begin{align*} H & : \text{クレーターの深さ(km)} \\ L & : \text{写真上のクレーターの影の長さ(km)}\\ \phi & : \text{設定した座標系におけるクレーターの緯度}\\ \theta & : \text{設定した座標系におけるクレーターの経度}\\ d & : z\text{軸と観測者がなす角度} \end{align*}

(この計算式の詳しい導出の手順については、後日掲載予定です。)

活動ブログ

前の記事

テストです
活動ブログ

次の記事

卒論・修論発表会