暗黒星雲を浮かび上がらせる

 

地球からみえる天空を格子状に区切りその中に含まれる星の数を数えると、星の密度で天空を表現することができます。このようにして暗黒星雲を浮かび上がらせることができます。

 

 

可視光で見た天の川銀河

下の画像は、北半球と南半球から見える空をつなぎ合わせたものです。恒星や星雲が天の川に集中して分布しています。しかし、星間減光の影響を強く受け、多くの天体が暗黒星雲で隠されています。

milky way

Credit:Axel Mellinger, A Color All-Sky Panorama Image of the Milky Way, Publ. Astron. Soc. Pacific 121, 1180-1187 (2009).

 

 

天の川銀河に分布する暗黒星雲

下の画像は、写真乾板のデータベース(DSS)を用いて作成した暗黒星雲の全天マップです。 写真乾板に写った約7億個の星の等級と座標を調べることで、 暗黒星雲に含まれるダスト(星間塵)の分布を描き出しています。この図では、ダストの量に比例する減光量の大きさで暗黒星雲を色付けしてあります。場所によって減光の度合が違うことが分かります。

この図の中央を水平に走る明るい帯が、天の川銀河の円盤の主要部です。中央の明るい帯から上下に大きくモヤモヤとしているところは、私たちの近傍の渦巻き腕にある非常に近距離の分子雲です。

暗黒星雲の中で特に密度の高い領域は分子雲コアとよばれ、恒星や惑星はこの分子雲コアが重力収縮して誕生すると考えられています。

milky way

 

近赤外線で浮かび上がるダスト

下の画像は、2ミクロン全天サーベイ(Two Micron All Sky Survey;2MASS)により得られたデータを用いて作成した天の川銀河のダストの分布です。

上の画像での暗黒星雲の分布(ダスト分布)を見ても分かるように、銀河系中心部には多量のダストが存在していて可視光ではほとんど見通すことができません。しかし観測する光の波長を変えることで、星間減光の影響を小さくすることができます。可視光に比べて、赤外線の方がダストによる吸収・散乱が起こりにくくなります。

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