チリ・アタカマ砂漠で日周運動の撮影を行いました
日付:2025年3月5日(水)~19日(水) 場所:チリ共和国 サン・ペドロ・デ・アタカマ
投稿者:花上和貴
活動の背景と概要:
私は大自然の写真をとるのが趣味で、登山の傍ら星空の写真もとっています。
各地の星空写真を使って理科教材を作成することを卒業研究のテーマにしようと考えています。
今回は南半球における星の日周運動の様子を記録するため、南米チリ・アタカマ砂漠で観測を行いました。
アタカマ砂漠はチリ北部を南北に約1200キロメートルにわたって広がる高地砂漠で、平均標高は約2000メートルを超えます。世界一乾燥した気候と澄んだ空気のため、ALMAをはじめとする多くの国際天文台が集まる、世界有数の天体観測地として知られています。
また南半球では、星の動きが北半球とは異なり、東西南北それぞれの空で独特の軌跡を描きます。今回はその違いを捉えるべく、超広角レンズによる一枚撮り撮影を中心に記録を行いました。
撮影記録より:

淡い冬の天の川の中に、暗く抜けたような箇所が確認できます。これが全天で最も目立つ暗黒星雲であるコールサックで、土橋教授の専門分野でもあります。
その隣にあるのが南天の象徴、みなみじゅうじ座です。

一方、濃く輝く夏の天の川は、日本とは上下が逆さまになっていることが特徴的です。
奥にそびえるのは標高5000メートル級のアンデス山脈。ボリビアとの国境になっています。

アタカマ砂漠は鳥取砂丘のような一面の砂地ではなく、山や谷が連なる起伏の激しい地形となっています。
なかでも月の谷と呼ばれるこの一帯は特に険しいため、アタカマ砂漠における最も人気な観光地となっています。
観測の所感:
サン・ペドロ・デ・アタカマ周辺は、深夜でも車の往来があり、街の光も比較的強いため、完全な暗闇での観測にはレンタカーなどの移動手段が必要であると感じました。
チリでは9月から4月の間、サマータイムが導入されており、3月の日の出は7時頃、日の入りは20時頃でした。21時頃まで明るく、夜明けも遅いため、日本との時間感覚の違いがとても印象的でした。
今後に向けて:
今回、機材トラブルや天候の影響により、西の空の記録が未完成となってしまいました。そのため、機会があれば再び南半球に赴き、欠けた部分を補完したいと考えています。また、今後は赤道直下の地域でも撮影を試み、緯度ごとの星の動きの違いを比較できる教材づくりを進めていきたいです。