用語集

暗黒星雲減光量星数計測法(スターカウント法)Lyndsカタログ
Digtitized Sky Survey I(DSS)

暗黒星雲
宇宙空間に漂うガスとダスト(塵)が集まった宇宙の雲で、天の川に沿って数多く見られる。 背景にある星の光を吸収・散乱するため、暗黒星雲は星の少ない暗黒の領域として認識される。暗黒星雲は周囲の宇宙 空間に比べ非常に密度が高く(100倍〜100万倍)、また、極めて低温(−260℃程度)という特徴がある。暗黒星雲は 、星の誕生の場として、銀河系の中でも特に重要な役割を果たしている。太陽のような恒星や地球のような惑星も、46 億年前にどこかの暗黒星雲の中で誕生した。

減光量
暗黒星雲の基本的な物理量(単位は等級)。暗黒星雲によって星の光がどの程度弱められるかを 示す。例えば、もともと5等級の星が、暗黒星雲によって6等級に見えるとき、この暗黒星雲の減光量は1等級である。減 光量はダスト量に比例するので、減光量を測定することにより、暗黒星雲に含まれるダスト量を推定することができる。

星数計測法(スターカウント法)
暗黒星雲内外での減光量の分布を測定する方法の一つ。暗黒星雲が星の少ない領域として認識 されることを利用する。暗黒星雲の写っている写真乾板にメッシュを切り、各メッシュに入る星を数え、星数密度(写真乾 板の単位面積当たりの星の数)の分布を調べる。暗黒星雲の有る場所と無い場所(参照領域)での星数密度の比が、減光量 と一定の関係にあることを利用して、減光量を計算する。

Lynds(リンズ)カタログ
米国の天文学者Lynds博士によって1962年に発表された暗黒星雲のカタログ 。彼女はパロマー山天文台の1.2mシュミット望遠鏡によって撮影された写真乾板をもとに、1802個の暗黒 星雲を見つけ、それらの位置や広がりを記録した。計算機が普及していなかった時代であったため、暗黒星雲の探査は全て肉 眼で行われた。このため、記録された暗黒星雲のデータ(位置や広がり)の精度は低く、また暗黒星雲の基本的 な物理量である減光量の測定さえ行われなかった。しかしながら、Lynds博士が作成したカタログは天の北半球 を網羅しており、暗黒星雲の貴重なデータベースとして今日でも頻繁に利用されている。

Digitized Sky Survey I (DSS)
パロマー山天文台(米国)およびアングロ・オーストラリア天文台(豪州)の1.2mシ ュミット望遠鏡によって1950年代から蓄積され続けてきた写真乾板を、高解像度スキャナーで取り込みデジタル 化したデータベース。1541枚の写真乾板を102枚のCD-ROMに収録し、全天を網羅している(写真乾板1枚につ き、天空の6°×6°の範囲をカバー)。米国の宇宙望遠鏡科学研究所によって1990年代初頭に作成された。も ともとはハッブル宇宙望遠鏡の運用のために作成されたが、我々の暗黒星雲探査も含め、様々な研究に広く利用さ れている。